債務整理

自己破産が家族に与える影響にはどんなものがあるのか

自己破産をすることで家族に与える影響とは?

自己破産は、「支払不能」、つまり、借金全額をもはや支払うことができなくなったときに、裁判所に申立てをして、財産を債権者に配当する代わりに、借金を免除してもらう債務整理手続です。

自己破産をためらってしまうよくある理由の一つに、ご家族に悪い影響が及ぶのではないかという不安があります。

世間での噂の中には、全く根も葉もないものもある一方、確かに家族を交えてしっかりとした準備が必要な自己破産のデメリットが家族に及んでしまうこともあります。

特に、自己破産のデメリット対策のために、家族を巻き込んで不適切な行為をすると、自己破産が許されないおそれが生じる「免責不許可事由」となってしまうこともあります。
免責不許可事由の中には犯罪に発展しかねないものもあり、軽率な行為は家族に大きな迷惑をかけるおそれがあります。

実際自分はどうなのか。それは弁護士に依頼して確認するしかありません。弁護士への相談の前に、ありうる問題点を確認しておきましょう。

このコラムでは、自己破産がご家族にどのような影響を与えるかを説明します。

1.免責不許可事由による家族への影響

法律の上では、免責不許可事由があると原則として免責許可決定がされず免責されない、となっています。
なお、「免責」とは、自己破産により債務が免除されること、「免責許可決定」とは、裁判所が免責を決定することを言います。

もっとも、実務上は、裁判所が自己破産をした債務者(自己破産手続中は「破産者」と呼ばれます)の事情を考慮して免責を認める「裁量免責制度」があるため、免責不許可事由があっても、よほど悪質な場合を除いて、免責がされることが多いといえます。

とはいえ、免責不許可事由の中には、家族を巻き込むことが多く、かつ、面倒な事態に発展してしまうものもあります。

それが「偏頗弁済」「詐害行為」です。詐害行為の悪質さが極まり、「財産隠し」までいくと、家族と一緒に犯罪者になってしまうおそれもあるのです。

(1) 家族からの借金だけ返す

支払不能後に特定の債権者にだけ返済することを「偏頗弁済」と言います。
偏頗弁済は、債権者を平等に取り扱うべきという「債権者平等の原則」に反するため、免責不許可事由とされています。

家族から借金をしているとき、偏頗弁済をしてしまう方が多くいらっしゃいます。

家族との関係を考えると、自己破産で借金をなくしてしまうことにためらいがあることはわかりますが、家族であっても借入先である以上は債権者です。決して偏頗弁済をしないようにしてください。

(2) 家族に財産を安く売り払うか譲渡する

詐害行為とは、破産者が、自己破産手続をする前に財産を他人に譲り渡すなどして、債権者への配当を減らす行為です。

家族とは簡単に財産をやり取りできますから、裁判所からすれば、事情を知らない他人よりも、破産者の借金問題を知っている家族のほうが、詐害行為にかかわったのではないかと疑いやすいのです。

(3) 名義だけ家族のものに変える

解約返戻金のある保険契約や不動産などの名義を破産者から家族のものに変更するのは、絶対にしてはいけません。

これは、裁判所をだまして債権者に損害を与えるもの、非常に悪質な免責不許可事由である「財産隠し」として、自己破産が失敗してしまう恐れがあるだけでなく、下手をすれば詐欺破産罪という犯罪になります。
家族と相談のうえであれば、家族も犯罪者となってしまうでしょう。

【家族に財産を移しても取り戻されてしまう】
免責不許可事由の調査や財産の配当処理が必要なとき、裁判所は、「破産管財人」が選任される「管財事件」という種類の自己破産手続を選択します(破産管財人が選任されない手続は「同時廃止」と言います)。
破産管財人は、配当財産を確保するために、偏頗弁済や詐害行為の相手方から財産を取り戻すことができます。これを「否認権の行使」と呼びます。そのため、家族に対して偏頗弁済や詐害行為をしていれば、破産管財人による否認権の行使に家族を巻き込んでしまうことになります。

2.家庭生活にかかわる財産の処分

原則、自己破産手続により処分される財産は、破産者個人が持つものに限られます。
ただし、偏頗弁済や詐害行為の相手が家族であった場合は、先ほど説明した否認権の行使のおそれがありますし、名義と事実上の所有者が異なる場合には例外的な扱いがされます。

まずは、自己破産手続により処分される主な財産ごとに、家族への影響を見ていきましょう。

(1) 預貯金

基本的には名義が問題となりますので、家族名義の銀行口座にある預貯金は自己破産の影響を受けません。

しかし、自己破産前に破産者から家族へ預貯金が移動している場合、詐害行為や財産隠しに当たるとして、管財人が否認権を行使するおそれがあります。

預貯金のほぼすべてが破産者の給料などの財産から出たものなら、実質的に破産者の財産として没収される可能性があります。具体的事情によりけりなので、弁護士に確認されたことは正確にお伝えください。

(2) 生命保険の解約返戻金

これも、基本的には保険契約者の名義が問題です。

しかし、家族名義の生命保険ではあるものの、破産者が保険料を支払っていれば、実質的には破産者が契約者であるとして、解約返戻金を配当するために破産管財人に生命保険を解約される恐れがあります。

(3) 不動産(マイホーム)

家族の生活の場となるマイホームなど不動産も、不動産登記の所有名義により判断されることが原則となりますが、多くの問題があります。

マイホーム処分と家族への影響

まず破産者が単独で所有している場合には、住宅ローンが残っていれば住宅ローン債権者などに、残っていなくても裁判所により処分されてしまうため、同居する家族の生活の場が失われてしまいます

家族と共有している場合は、破産者の持分については手続上処分すべき財産となりますから、不動産全体の売却が必要になるおそれもあります。

破産者が所有名義人になっていなくとも、購入資金を破産者が捻出していれば、破産者の財産と扱われかねません。

自己破産手続の前に、名義を破産者から家族に移しても意味がなく、かえって詐害行為や財産隠しなどの免責不許可事由を生じさせてしまいます。

離婚に伴う財産分与により不動産名義を変更していたとしても、それにより夫婦間の財産の分配の割合が極端に偏ってしまっていると、詐害行為とされるリスクがあります。

マイホーム処分による家族への悪影響を少なくする方法

任意売却

自己破産手続前に親族や友人に市場価格で売り渡したうえで借りることにより、家族がマイホームに住み続けることができます。

もっとも、マイホームを買い取れるような親族がいることは少ないでしょう。マイホームの査定を慎重に行わなければ詐害行為になってしまいます。必ず、事前に弁護士とよく相談し、慎重に検討してください。

個人再生手続

個人再生手続は、自己破産手続同様に裁判所を用いる債務整理手続です。

たいていの場合は大幅な減額がされるとはいえ、借金の返済負担が残ってしまう手続ですが、住宅資金特別条項という制度により、住宅ローン残高の残るマイホームを債権者に処分されないようにすることができます。

マイホーム以外の財産も、担保権さえついていなければ手元に残せます。

(4) 自動車

家族の移動に使うことが多い自動車も、名義が問題となることや、名義変更が逆効果になることは不動産と同じです。

ローンが残っておらず、かつ、時価が20万円以下であれば、債務者の生活のため処分されない「自由財産」とされる可能性がありますので、弁護士に申立先の裁判所の運用を確認しましょう。20万円を超えてしまった場合には、任意売却+賃貸を検討しましょう。

ローンが残っている場合ですが、個人再生手続でも債権者による処分を回避できません。住宅資金特別条項のような制度はないためです。親族などにローンを返済してもらうなど、他の方法を考えることになります。

3.家族が連帯保証人や連帯債務者になっている場合

破産者の借金、特に住宅ローンや奨学金の連帯保証人や連帯債務者に家族の方がなっている場合、非常に大きな問題が生じます。

連帯保証人や連帯債務者は、破産者が支払えなくなった借金の残高を一括で支払わなければならないからです。

ご家族も自己破産手続などの債務整理手続をしなければならないことが十分あり得ます。必ず事前に自己破産することを打ち明け、弁護士を交えてよく相談してください。

4.信用情報(ブラックリストへの掲載)の影響

自己破産手続を含む債務整理をすると、信用情報機関に登録されます。しばしば言われるブラックリストに掲載されるというのは、この信用情報機関への登録のことです。

ブラックリストに情報が掲載されると、最長10年間、子どもの教育ローンを組めなくなったり、奨学金の連帯保証人になることができなくなります。このような子どもへの金銭的な信用の援助ができなくなるという不利益は生じてしまいます。

もっとも、他の家族がブラックリストに掲載されることはありません。たとえば、夫が自己破産しても、妻が子どものためにローンを組み、また、連帯保証人となることができます。

5.家族への影響がないものについて

(1) 戸籍や住民票

自己破産手続をしても、戸籍や住民票に記録がされることはありません

免責不許可決定がされてしまった場合など、ごく例外的なときに、「破産者名簿」に記載されますが、一般の方が閲覧できるものではありません。

なお、だれでも閲覧できる官報には、すべての自己破産手続をした債務者の住所氏名が記載されますが、一般の方で官報を読んでいる方は、ほとんどいないでしょう。

(2) 生活必需品は処分されない

古典的なイメージとして、自己破産すると家財道具一式を持ち出されてしまうというものがありますが、そのようなことはありません。

自己破産する人の財産であっても、冷蔵庫や電子レンジ、調理用具や布団・ベッドなどの寝具、タンスや衣服、さらにテレビやエアコンといった家電は、生活に必要な財産と言えますから、自由財産となり処分されないのです。

6.自己破産をお考えの方は泉総合法律事務所へ

基本的に、自己破産手続は借金をしている破産者本人を対象とする手続ですから、それにより破産者の家族が、直接の影響を被ることはさほどありません。

もっとも、マイホームや自動車の処分は、家庭生活の基盤を失わせてしまいかねないという点で非常に重大な問題です。
住宅ローンや奨学金などの連帯保証をしていた場合には、家族も債務整理をする可能性があります。

自己破産手続を検討しているものの、ご家族への影響が気になり、躊躇していらっしゃる方がいらっしゃいましたら、まずは泉総合法律事務所までご相談ください。

泉総合法律事務所では、これまで多数の借金問題を、自己破産手続を含む債務整理手続で解決してきた豊富な実績がございます。借金問題に関するご相談は何度でも無料です。どうぞお気軽にお問い合わせください

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