交通事故

増加する自転車事故の実態。自動車との事故における過失割合は?

増加する自転車事故の実態。自動車との事故における過失割合は?

最近、自転車ブームなどによって、自転車を頻繁に利用する人が増えています。結果、自転車が交通事故に巻き込まれることも増えていて、社会問題とされることもあります。

自転車が自動車との接触事故に巻き込まれた場合、自転車にはどのくらいの責任があることになるのでしょうか。

歩行者が自動車に衝突された場合、自動車の方が悪いと判断されることが圧倒的に多いということはよく知られていると思いますが、自転車の場合はどうなのでしょうか。自転車が悪いといわれてしまうことはあるのでしょうか。

自転車に乗る以上、事故に巻き込まれる可能性はあります。また、自転車で事故にあった場合、自動車同士の事故よりも大きな怪我を負ってしまい、金銭的な被害も大きくなるケースが少なくありません。

この記事では、自転車に乗る人が知っておくべき、自転車と自動車の接触事故の過失割合の考え方について解説していきます。

1.自転車事故が増えている理由

(1) 自転車が車道を走るケースが増えている

自転車は軽車両に該当し、法的には、自動車と同じ「車両」として扱われています。

そのため、自転車は原則として歩道を走ってはいけない(自動車のように車道を走らなければならない)ことになっています。

以前は、それでも歩道を走る自転車が多かったのですが、自転車と歩行者の事故の増加が社会問題化したことなどによって、自転車が歩道を走ってはいけないというルールが改めて広く周知されたり、対策が強化されたりしてきました。

その結果、最近では、転車が車道を走るケースが増えているようです。

しかし、自転車が車道を走る際にどのように安全に配慮すればよいのかというようなことは、まだ人々の間に根付いておらず、また、自転車専用レーンなどの整備も必ずしも追いついていません。

そのため、自転車が車道を走ることによって、自動車との接触事故が起こりがちになってしまっているというのが現状なのです。

(2) ロードバイクがブームになっている

ここ数年、「かっこいい」,「楽に走れる」などの理由で、ロードバイクがブームになっています。

ロードバイクは高速で長距離を走るための自転車で、本来はスポーツに使われるものです。ところが、ブームによって、通常の道路をロードバイクで走行する人が増えているのです。

ロードバイクには、軽い力でハイスピードが出るという特徴がありますので、かなりの高速で走行する場合が多く、自動車との接触事故も起こしやすいといえます。

そのため、ロードバイクのブームが、自転車の交通事故が増える1つの要因になっているのです。

(3) 通勤に自転車を利用する人が増えている

さらに、最近、エコや健康維持の観点から、通勤に電車や車ではなく、自転車を利用する人が増えています。

通勤に自転車を使うと、自転車で走る距離は必然的に長くなりますので、その分交通事故に巻き込まれるリスクは高くなります。

2.自転車事故の過失割合の基本的な考え方

(1) 過失割合とは

過失割合」とは、交通事故が起きたことについての当事者の責任の割合を比率で表したものです。100%のうち、何パーセントがどちらの責任かなのかを、10:90や25:75などという形で表現されるのが一般的です。

交通事故の損害賠償を請求する際には、通常、この過失割合に応じて賠償金の額が減額されることになります。このことを「過失相殺」といいます。

(2) 自転車と自動車の事故の場合の考え方

自転車には、自動車(四輪車)や単車、そして歩行者と比較して、次のような特徴があります。

  • 自動車や単車のように免許がいらないので、交通ルールを理解しにくい子供なども運転する
  • 走行スピードは、歩行者よりは速いけれど、自動車や単車よりは遅い
  • 自動車に比べて事故にあった場合のダメージが大きくなりやすい

以上のような特性から、自転車は、自動車と比べて「交通弱者」であると言われることがあります。

また、自転車の他者に対する危険性は、自動車と比較すると小さいといえます。

過失相殺を判断する際には、「弱者保護」「弱者救済」という考え方や、危険性の高い乗り物を運転している人の方が注意しなければならない程度がより高いといった考え方があります。

そのため、交通弱者であり、自動車より危険性の低い自転車の過失割合は、自動車よりも少なくみられる傾向にあるのです。

なお、場合によっては、自転車もかなりのスピードで走ることがあります。そのようなときには、事故を起こした場合の危険性が高くなりますので、自転車でも単車と同じとみなして過失割合を判断すべきであると考えられています。

通常の自転車のスピードは15キロ程度ですので、30キロ程度になると、ここでいう「かなりのスピード」にあたると考えられます。

3.自転車の過失割合を判断する際の基準

過失割合は、基本的に過去の裁判例において、実際の事故と類似した事案ではどのような判決が出されたのかということが参考にして判断されます。

法律実務では、交通事故の態様ごとに、基本となる過失割合や基本の割合を修正すべき要素が掲載された、『民事交通訴訟における過失相殺等の認定基準』(判例タイムズ社出版)という書籍を参考にするのが一般的です。

4.具体的な事例における過失割合

それでは、具体的な事例において、上記書籍でどのように過失割合が示されているのかをみていきます。

なお、書籍にはたくさんの事故類型が掲載されていますが、ここではその中からピックアップした一部をご紹介します。

(1) 自転車の巻き込み事故

交差点で自動車が左折する際に、後方から直進してきた自転車を巻き込んでしまうという事故態様です。これはとても多いケースです。

この場合、基本の過失割合は、自転車10%、自動車90%とされています。

修正要素の例としては、次のようなものがあります。

  • 自動車が大回り左折をした場合 自転車から-10%
  • 左折の合図を怠った場合 自転車から-10%
  • 自転車を運転していたのが児童や高齢者の場合 自転車から-5%
  • 自転車横断帯を通行していた場合 自転車から-5%
  • 自転車に著しい過失がある場合  自転車に+5%
  • 自転車に重過失がある場合 自転車に+10%
  • 自動車に著しい過失または重過失がある場合 自転車から-5~10%

なお、以上は自転車が自動車の後方からやってきた場合ですが、自転車が先行していた場合は、基本の過失割合は、自転車:自動車=0%:100%とされています。

(2) 路外から出た際の事故

①自転車が路外から出ようとして自動車に接触した場合

自転車が駐車場などの路外から道路に出てきた際に道路を直進する自動車と接触した事故です。

この場合の基本の過失割合は、自転車40%、自動車60%です。

②自動車が路外から出ようとして自転車に接触した場合

路外から道路に進入した自動車が、道路を直進していた自転車をはねた事故です。

この場合の基本の過失割合は、自転車10%、自転車90%とされます。

自転車が右側通行していた場合は、自転車15%、車85%に修正されます。

自転車には、左側を通行しなければならないというルールがあります。これに違反した場合は、自転車の過失が大きくなるのです。

その他の修正要素の例を挙げます。

  • 自動車が頭を出して待機していた場合 自転車に+10%
  • 自動車がすでに道路に侵入していた場合 自転車に+10%
  • 自転車が歩道を通行していた場合 自転車に+5%
  • 自転車に著しい過失がある場合  自転車に+10%
  • 自転車に重過失がある場合 自転車に+20%
  • 自転車を運転していたのが児童や高齢者の場合 自転車から-10%
  • 自動車が飛び出した場合 自転車から-10%
  • 自動車に著しい過失がある場合   自転車から-10%
  • 自動車に重過失がある場合 自転車から-20%

(3) 信号機の設置された交差点での事故

①自動車が信号無視した場合

自動車側の信号機が赤色、自転車側の信号機が青色の場合の基本の過失割合は、自転車0%、自動車100%です。

②自転車が信号無視した場合

一方、自転車側の信号機が赤色で自動車側の信号機が青色の場合は、自転車の過失が100%とはなっていません。基本の過割合は、自転車20%、自動車80%とされています。

交通弱者である自転車に有利に考えられていることがわかります。

5.自転車事故の過失割合に不満ならば弁護士に相談を

このように、自転車と自動車の交通事故では、一般的に自転車に有利に過失割合が考えられていますが、修正要素の有無によっても結論は大きく変わってきます

また、そもそも、信号機の色など、事故状況自体についても、相手方との主張が対立するケースが少なくありません。

そのような場合に、自分に有利な過失割合で合意をする(または、訴訟で認めてもらう)ためには、専門的な知識や経験が必要になります。

ですから、保険会社から提示された過失割合に納得がいかないような場合には、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

泉総合法律事務所は、自転車が絡む交通事故につきましても、多くの案件を解決してきた実績がございます。過失割合に納得がいかない交通事故被害者の方は、どうぞ安心して泉総合法律事務所の弁護士にご相談ください。初回のご相談は無料となっております。

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