万引きで逮捕された場合の流れと、弁護士に相談するべき理由
万引きが見つかって逮捕されたら、早期に弁護士に相談して弁護活動を開始するべきです。
放っておくと起訴されて刑罰が適用され、前科がつく可能性も高くなってしまいます。万引きでも、懲役刑を適用されたら執行猶予がつかない限り刑務所に行かなければなりません。
今回は、万引きで逮捕された後の一般的な流れや、弁護士に相談するべき理由について、解説します。
このコラムの目次
1.万引きで捕まった後の流れ
万引きで逮捕された後の流れは、勾留されずに釈放されるか、勾留されて身柄の拘束が続くかで変わってきます。
(1) 勾留されない場合
勾留されずに釈放されると、被疑者は普段通りに自宅で過ごすことができます。外出の制限などもなく会社や学校にも行けますし、家族と遊びに行くのも自由です。監視などもつかず、警察に何かを報告する義務などもありません。
ただし、身柄が自由な間にも捜査は続いています。このように身柄拘束が解かれた後や、そもそも身柄を拘束しないまま捜査がすすめられている状態を在宅事件と呼びます。
万引きで在宅事件になりやすいのは、以下のようなケースです。
- 被害額が小さい
- 強く反省している
- 前科等がなく初犯であり、余罪がない
在宅事件になった場合の流れは以下の通りです。
- 捜査が進められる
在宅事件となって被疑者が自宅で過ごしている間にも、捜査は継続されます。警察が事件にに関する証拠を集めていきます。- 検察官に呼ばれて取り調べを受ける
証拠収集が概ね終了すると、検察官が被疑者を検察庁に呼び出して取り調べを行います。検事調べの段階に来たら、処分決定の時期が近づいていると考えましょう。- 検察官が起訴か不起訴かの処分決定をする
検事調べの後、検察官がこれまでに集めた証拠と被疑者の供述内容や反省の態度、示談の有無、被害者の処罰感情などを考慮して、被疑者に対する処分を決定します。
在宅事件の場合、次に説明する身柄を拘束される事件と違って、捜査にかける期間が限定されないので、捜査が間延びするケースが多々あります。
被疑者にしてみると「いつまで捜査が続けられるのか」「いつになったら結果が出るのか」と悶々としながら待ち続けるケースも少なくありません。
(2) 逮捕後、勾留される場合
逮捕後、被疑者が「勾留」されて長期間身柄拘束される場合です。
勾留の要件は「住所不定」、「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」です。
勾留されると、一つの罪につき、逮捕後最大23日間警察の留置場で身柄拘束され続けるので、被疑者の受ける不利益が大きくなります。その間は通勤通学はできませんし、電話もネットも使えず、警察に管理された極めて不自由・不便な生活を強いられます。
万引きの場合には、以下のようなケースで勾留されやすいです。
- 住所不定、無職
- 被疑者に家族がおらず(1人暮らし)、身元を引き受けてくれる人がいない
- 余罪が多数ある
- 前科がある
- 被害額が大きい、被害品が多数
- 犯行が計画的で悪質
逮捕後の流れは以下の通りです。
- 逮捕後3日以内に「勾留請求」される
逮捕後48時間以内に身柄を検察官に送致され、検察官は身柄を受け取ってから24時間かつ逮捕から72時間以内に裁判官に対して勾留請求を行います。裁判官が勾留を決定すると引き続き警察の留置場内で身柄を拘束され続けます。- 警察の留置場で最大20日間拘束される
勾留期間は延長を含めて一つの罪につき、最大20日です。その間、捜査官による取り調べが行われ、被疑者は留置場内での生活を強いられます。もちろん会社や学校に行ったり外部と自由に通信したりすることはできません。
逮捕期間は家族と面会できませんが、勾留に切り替わると裁判官が禁止しない限り、家族などの一般人と会えるようになります。- 検察官が起訴か不起訴かを決定する
余罪などない場合には、逮捕から勾留満期までは最大23日です。その期間内に検察官は被疑者に対する起訴するか否かを決定するのが原則です。多くの場合、事務処理に必要な時間に配慮して勾留満期の数日前には検察官が起訴か不起訴かを決定します。
起訴後は、自動的に起訴後の勾留が続きます(ただし、起訴後は保釈請求が可能になります)。
このように長期にわたって身柄拘束を受け続けると、被疑者はさまざまな不利益を受けます。会社を解雇されるかもしれませんし、学校を退学になる可能性もあります。家族にも大きな迷惑や心配をかけるでしょう。
勾留された場合には、とにかく「早期の身柄釈放」を目指すべきです。
2.検察官による処分決定後の流れ
検察官が処分決定すると、以下のような流れになります。
(1) 不起訴になった場合
不起訴となると、事件はその時点で終了し、裁判にはならないで、すぐに釈放してもらえるでしょう。
(2) 略式起訴になった場合
略式起訴とは、書類上のみの簡易な刑事裁判です。「罰金刑」となる場合に略式起訴となります。
略式起訴された場合、勾留されているときは、多くの場合、裁判所に連れて行かれて罰金の支払を命ずる書類を受け取ってから釈放され、すぐに検察庁の受付で罰金を支払うことになります。
きちんと罰金を支払えば刑を終えたことになりますが、罰金刑の前科がつきます。
また、もし払わなかったら、労役場に留置される可能性があります。
(3) 正式起訴された場合
正式起訴とは、原則通りの刑事裁判を求めることです。正式起訴されたら、裁判所の法廷で審理が開かれ、被告人も毎回出廷しなければなりません。
3.万引きで逮捕されたとき弁護士に依頼すべき理由
万引きで逮捕されたら、すぐに弁護士に依頼するべきです。その理由は以下の通りです。
(1) 被害者との示談交渉
万引きで処分を軽くしてもらうには、被害者と示談する必要があります。
示談が成立したら、被疑者の情状が良くなって不起訴処分にしてもらえる可能性が高くなるからです。
しかし、被疑者が自分で示談交渉しようとしても、被害者が受け付けないケースも多々あります。
そのようなとき、弁護士が代わりに示談交渉を進めると、スムーズにまとまる可能性が高くなります。
(2) 示談できない場合の対応
万引きの被害者がチェーン店などの場合、一律で「万引き犯と示談はしない」対応をとっていて、示談できないケースもあります。
その場合、賠償金の供託や贖罪寄付などを行うことで、被害弁償する意向や反省の態度などを示すことが可能になります。
被疑者が自分でこうした手続きを進めるのは困難ですから、弁護士に依頼する必要があります。
(3) 反省文作成の際にサポートを受けられる
万引きでなるべく処分を軽くしてもらうには、被疑者がしっかり反省していることを示す必要があります。
ただ、警察官や検察官にどれだけ「反省しています」などと言ったところで、聞いてもらえないケースもあるものです。
気持ちを示すには、反省文を作成して文書にして、証拠化する方法が有効です。
しかし、被疑者が自分で反省文を書こうとしても、何を書けば良いかわからない方が多数いらっしゃいます。
弁護士がついていたら、反省文を書くべきタイミングをご本人に告げて書き方の指導を行います。
完成した文章の訂正指導なども可能です。
弁護士は、完成した文書を被害者へ送付したり検察官へ提出したりします。
4.前科を避けるためには弁護士のサポートが必要不可欠
万引きで逮捕されたとき、長期の身柄拘束による不利益や前科は何としても避けるべきです。刑事弁護に長けた弁護士に任せることで、その可能性も高くなります。
万引きを軽く考えていると、予想外の大きな不利益を受けるおそれもあるので、すぐに弁護士までご相談下さい。
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