刑事事件

盗撮をしてしまった…。現行犯以外の逮捕はあり得る?

盗撮をしているところを見つかり、慌てて逃げてきてしまったという方がいらっしゃるかもしれません。
これからどうなるのか、現行犯で捕まらなくても逮捕される可能性はあるのか、不安に思っているのではないでしょうか。

1.盗撮の場合の逮捕の種類

盗撮の場合、よくあるのが、盗撮の現場を抑えられて、「現行犯逮捕」されることです。

現行犯逮捕とは、現に犯罪を行っている犯人や、犯罪を行い終わったばかりの犯人を、逮捕令状を必要とすることなく逮捕する手続をいいます。
さらに、犯行から間がない場合に、「盗撮の犯人だ!誰か捕まえてくれ!」と犯人と呼ばれている、追跡されているなどの一定の要件を満たす者を「現行犯人とみなして」逮捕することを準現行犯逮捕といいます。

一方、その場では捕まらず逃げてきた場合でも、警察が、被害者や目撃者の話を聞いたり、防犯カメラの映像を解析したりして捜査を行い、容疑を固めた上で、裁判所から逮捕状を取得し、後日逮捕されることもありえます。このような逮捕状による逮捕を「通常逮捕」といいます。

通常逮捕される場合は、逮捕状を持った警察官が自宅にやってきて逮捕されることもありますし、警察から出頭するように連絡があり、警察署で取り調べを受けた後、準備されていた逮捕状によって逮捕されるということもありえます。

最近は、町のいたるところに防犯カメラがあり、また、誰もが気軽にICカードを利用して電車やバスに乗っています。

そのため、防犯カメラの映像、交通系ICカードの利用履歴などによって犯人が特定され、後日通常逮捕されることは十分有り得ます。

【在宅捜査の可能性】
盗撮は、比較的軽い犯罪と言えますので、逮捕されずに在宅での捜査になることもあります。在宅での捜査では、警察や警察から呼び出しが来た時に、取り調べに応じるということになります。
今、警察から呼び出しが来ているという人も、必ずしも逮捕されるとは限らず、取り調べを受けた後帰れることもあります。
逮捕された場合も、在宅捜査の場合も、「警察の捜査→検察の捜査→検察官の処分決定→(起訴されたら)裁判」という大きな流れは変わりません。
しかし、逮捕された場合には、検察官の処分決定までに細かく時間制限があるのが大きな違いとなります。

2.盗撮で逮捕された場合に問われる罪とは

では、盗撮で逮捕された場合には、どのような刑罰を受けるのでしょうか。

盗撮行為が抵触しうる犯罪としては、迷惑防止条例違反、軽犯罪法違反、住居侵入罪(刑法)があります。

(1) 迷惑防止条例違反

「公共の場所」「公共の乗物」での盗撮行為は、各地方自治体の定める迷惑防止条例違反に該当します。

迷惑防止条例は、各自治体がそれぞれ定めるものですから、自治体によって、処罰される行為や罰則が異なります。

例えば、東京都迷惑防止条例(第5条1項2号)では、「公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物」だけでなく、「住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所」での盗撮行為も禁止しており、「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」(第8条2項1号)という刑罰を設けています(常習犯のときは 2年以下の懲役又は100万円以下の罰金/第8条8項)。

さらに、実際に撮影していなくても、盗撮のためにカメラなどを人に差し向けたり、設置したりする行為も禁止し、違反すると6月以下の懲役又は50万円以下の罰金(第8条2項1号)となります(常習犯は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金です。第8条8項)。

迷惑防止条例は、居住地のものではなく、盗撮行為を行った場所の条例が適用されますので、東京以外に在住の人でも、都内で盗撮行為を行えば、東京都の迷惑防止条例が適用されます。

(2) 軽犯罪法

盗撮目的の有無にかかわらず、正当な理由がなく人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見る行為は、軽犯罪法(第1条第23号)が適用され、「拘留又は科料」の刑罰に処せられます。

「拘留」とは、1日以上、30日未満の期間で、刑事施設での身柄拘束される刑罰のことです。
「科料」とは、1,000円以上1万円未満の範囲で、国家に金銭を納める刑罰のことです。

(3) 住居侵入罪(刑法第130条)

盗撮のために、正当な理由なく人の住居やその敷地内に立ち入ると、住居侵入罪で処罰されることもあります。
住居侵入罪の罰則は、「3年以下の懲役又は10万円以下の罰金」となっています。

懲役や科料のような身柄を拘束される刑罰だけではなく、罰金や科料も、刑罰としてお金を支払っているものなので、前科になります。

3. 盗撮事件の弁護士への相談・依頼のメリット

(1) 示談交渉を任せられる

盗撮事件の弁護を弁護士に依頼することの一番のメリットは、速やかに示談交渉を進めてもらえることです。

刑事事件の示談では、反省や謝罪の気持ちを被害者に伝えたうえで、被害者に示談金を受け取ってもらい、「処罰を望みません」、「寛大な処分を望みます」などの被害者の処罰感情が無くなったことを明らかにする文言が記載された示談書に署名押印してもらいます。これにあわせて告訴状や被害届を取り下げてもらいます。

これにより、不起訴になる可能性が高くなります。

逮捕、勾留されている場合でも、示談が早く成立すれば、勾留決定に対する準抗告が認められ身柄が解放される可能性も高まりますし、勾留期間の満了を待たずに不起訴処分となり、早く釈放されることもあります。

盗撮事件の示談交渉は、弁護士に依頼するのがベストです。

被疑者が警察から被害者の連絡先を教えてもらうことはできませんし、仮に被害者の連絡先を知っていたとしても、被疑者からの直接の連絡は、かえって被害者の処罰感情を増大させたり、お礼参りや脅迫と誤解されたりする危険があります。

弁護士が示談交渉を担当することで、被害者側に安心して交渉に応じてもらえるのです。

(2) 取り調べのアドバイスをもらえる

すでに警察から呼び出しの連絡が来ている場合は、弁護士に依頼・相談をすれば、取り調べを受ける際の注意点などを弁護士からあらかじめ教えておいてもらうことができます。

出頭したら逮捕されてしまう危険がある場合でも、弁護士であれば、例えば悪質性のない単純な事案では、次のような方法で逮捕を回避できる可能性もあります。

  • 事実関係を認め、いつでも捜査に協力する旨の上申書を作成し提出する
  • 家族関係、勤務先関係の詳細を記載した報告書を作成し提出する
  • 盗撮映像のファイルなど、証拠を進んで提出する
  • 家族や上司など信頼できる身柄引受人を確保して身柄引受書を作成し提出する
  • これらによって、証拠隠滅や逃亡のおそれが皆無で、逮捕の必要性がないことを主張する

もちろん、上は犯行を認めている場合であり、身に覚えがない場合は別です。

また、身に覚えがあるときでも、真実と異なる事実で処罰されてしまわないよう、積極的に捜査協力をするべきか否か、どの程度の情報をこちらから提供するべきかは、弁護士と十分に打ち合わせをしたうえで、慎重に判断する必要があります。

警察から連絡が来ている方は、すぐにでも弁護士にご相談ください。

4.まとめ

盗撮をして逃げてきてしまった場合、現行犯以外でこれから逮捕されるのではないかと怯えながら毎日を過ごすよりも、刑事事件に強い弁護士に一度ご相談ください。
また、警察から出頭するよう連絡がきたという方も、出頭前に弁護士にアドバイスをもらうことをおすすめします。

刑事事件の経験豊富な弁護士は、その事案ごとの今後の見込みを教えてくれます。また、弁護士に依頼すれば、いち早く被害者との示談や、警察・検察との交渉に動いてくれます。

刑事事件は、早急に対処することが非常に重要です。お困りの方は、泉総合法律事務所国分寺支店の弁護士にぜひ一度ご相談ください。

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